今日のシンクロニティ「奥の細道」の旅 96 其のまゝよ月もたのまじ伊吹山
本日二〇一四年十月十六日(当年の陰暦では九月二十三日)
元禄二年九月 四日
はグレゴリオ暦では
一六八九年十月十六日
【その一】大垣蕉門の重鎮であった大垣藩家老格戸田権大夫戸田恕水の「恕水(如水)日記」(元禄二年九月四日と五日の日記)の四日の条に『頃日伊吹眺望といふ題にて』という前書で第二句目が載る。大垣藩士高岡三郎兵衛斜嶺(しゃれい)邸での句である。
戸を開けば西の山有(あり)、いぶきと
いふ。花にもよらず、雪にもよらず、
只これ孤山の德あり
其(その)まゝよ月もたのまじ伊吹山
其のまゝに月もたのまじ伊吹山
[やぶちゃん注:第一句目は真蹟詠草の句形。第二句目は「笈日記」のもの(そこには斜嶺亭と前書の前に角書する。これが初案と思われる。
土地と主人への挨拶句の中に孤高の芭蕉自身をも秘かに含ませている感じがする。]