今朝方見た不思議な夢
鎌倉の海岸近くの丘の上の小さな廃寺[やぶちゃん注:架空の寺であった。]。
そこはストリート・チルドレンを預かっているらしい。
僕はそこを取材しに行くのである。
庵主はミイラのようになった老婆で、奥座敷に横たわったまま無言である。
彼女を見舞った後、元本堂であった場所に赴くと、そこに少年少女が三々五々寄り沿って寝ている。
その中に一人の少女がいる。
僕はその子を知っているような気がした。
僕は黙って彼女の傍らに寄り添って、添い寝した。
薄い布団の下で僕はそっと少女の手を握った。
――その瞬間
――彼女は僕の子を宿した
――そういう直感が走った……
……僕は僕の部屋にいた。[やぶちゃん注:僕はその時には小学生になっている。]
窓辺にプラスチックの飼育ケースが置いてある。カブトムシを飼うような例の入れ物である。
その中に掌ぐらいのイシガメが一匹いるのである。
そのカメが頸を延ばして僕を見ているのだが……
……僕には分かっていたのだ……
……そのカメは……
……さっきの……
――僕の子を宿した少女――なのだ、と…………
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