尾形龜之助「四月の原に私は來てゐる」 心朽窩主人・矢口七十七中文訳

　
　

　　四月の原に私は來てゐる

　尾形龜之助

過去は首のない立像だ

或る年
ていねいに

戀は　靑草ののびた土手に埋められた

それからは
毎年そこへ萌へ出づる毒草があるのです

靑い四月の空の下に
南風がそこの土手を通るときはゆらゆらゆれながら
人を喰ふやうな形をして咲いてゐる花がそれなのです

　
　
　

　　我到四月的草原了

过去是丢失头部的立像

有一年

细心地

一个恋爱 被掩埋在长青草的河堤地下

以来

每年在那地上萌芽一个毒草

在四月蓝天下

南风刮过去那边时 就摇摇晃晃

以好像吃人似的形状而开的那朵花正是

　

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　　　　　　　　写真撮影　：　矢口七十七

　　　　　　　　写真加工　：　心朽窩主人