文字通り胸糞悪くなる夢で目が醒めた
文字通り……胸糞惡くなる夢で……さつき、目が醒めた――
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私は大學生である。
醉うた翌日である。
大学の構内を、便意を催しながらも、それを屁(ひ)るに相應しき淸淨なる厠を見出せずにゐるのである。
大便所の先客の始末の惡さを口汚く罵りながら、ただ只管に彷徨(さまよ)ひ歩いてゐるのである。
しかも氣づけば靴さへ履いてゐないのである。
どうやら昨日したたかに醉ふた折に身包み合財盗まれたらしい。
慌ててシヨルダー・バツグ(といふところが大学時分の私らしい)を開けて見れば、中はすつかり空つぽなのであつた。
定期入も財布の中も、カード(この中身は今のそれである)も何もかも空つぽなのである。
……何より痛烈だつたのは……財布の中に入れてゐた母の形見の……なくなつてゐことであつた…………
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最近、飛ぶ夢どころか、しみじみとする夢を暫く見ない。
大学時分から独身をやめるまで記述してきた夢日記を、少し、読み返したくなった…………
大学時分から独身をやめるまで記述してきた夢日記を、少し、読み返したくなった…………