杉田久女句集 290 菊ヶ丘 Ⅴ 墓參 六句
墓參 六句
信濃なる父のみ墓に草むしり
城山の桑の道照る墓參かな
母屋から運ぶ夕餉や栗の花
厨裡ひろし四眠ごろなる蠶飼ふ
[やぶちゃん注:「四眠」通常の蚕の最後の四回目の脱皮から繭を作る時期を指す。]
繭を煮る工女美しやぶにらみ
ゆるやかにさそふ水あり茄子の馬
[やぶちゃん注:角川書店昭和四四(一九六九)年刊「杉田久女句集」では昭和一〇(一九三五)年以後のパートにある(父廉蔵は大正七(一九一八)年十二月七日に脳溢血で逝去している。彼は長野県松本市宮淵の出身であった)。]
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