萩原朔太郎 短歌 全集補巻 「書簡より」 (Ⅲ)
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〇倦んじてはわびては讚ふ大佛も眠りておわす京の東大寺
〇
○歌あまさず、ひきゝに忌まぬ名なし草もとより京をさむう行く水(二首京にて)
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○はかな小草つむに小さき戀も得つ浪江行く水情あらしめよ(大坂にて)
[やぶちゃん注:明治三六(一九〇二)年六月一日消印萩原栄次宛葉書より。投函地は前橋。朔太郎、満十六歳。圏点や記号類は書簡にあるもの。一首目の「讚」は原書簡では「言」の部分が「口」(くちへん)であるが、読めないので校訂本文の表記を採った。「おわす」はママ。二首目の読点はママ。三首目の「浪江」は校訂本文では「浪花」と訂している。採らない。]
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