甲子夜話卷之一 21 有德廟、ある社頭に於て繪馬の發句につき上意の事
21 有德廟、ある社頭に於て繪馬の發句につき上意の事
德廟、本庄筋の御成に、ある社頭を過らせ給て、一境内を徘徊せさせ給ふとき、社の側に掛たる繪馬を見させ給ひ、あれにある發句は善き句なり。何人が仕たるぞ、名は柏筵とあるにと問せ給ふ。扈從の輩、誰に候や辨じ申さずと答奉る。其時上意には、是は當時名高き市川團十郎と云役者よ。汝等は知ぬかと仰あり。左右その何事も御詳知の御ほどを畏れ入りしとなり。
■やぶちゃんの呟き
「有德廟」吉宗。
「本庄」前話からも本所であろう。
「柏筵」話柄から考えて二代目市川團十郎(元禄元(一六八八)年~宝暦八(一七五八)年)であろう。
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