パウルーシャの最後の台詞(「猟人日記」「ビェージンの草原」中山省三郎訳より)
「あれは何だ?」と不意にコスチャが頭をもたげて訊いた。
パーウェルは耳をすました。
「あれは山鴫(やましぎ)が鳴きながら飛んでるんだよ」
「どこへ飛んで行くんだらう?」
「向ふの、冬のねえつち所へよ」
「そんな國があんのか?」
「あるとも」
「遠くにか?」
「遠く、遠くの、暖(あつた)かい海のむかふだよ」
コスチャはほつと溜息をついて、眼をとぢた。
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