――芭蕉最期の枕邊にて―― 桂男すまずなりけり雨の月
桂男すまずなりけり雨の月
(かつらおとこすまずなりけりあめのつき)
――寛文九(一六六九)年――芭蕉二十五歳――
……筒井筒を掛けなさったものと存じますが……お畏れ乍ら少し絵面が平板に見えまする…………
[やぶちゃん注:「桂男」は月に生えるとされた桂の木、月読(つくよみ)命、月の男、月という謂いで、中秋の雨の無月に、知られた「伊勢物語」第二十三段「筒井筒」のエンディング、「男住まずなりにけり」を裁ち入れて「澄まず」と掛けた。]
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