橋本多佳子句集「海彦」 北の蒼
北の蒼
郭公や明さとなるか北の蒼
[やぶちゃん注:「明さ」は「あかるさ」ではとてもであるが、「あかさ」では意味が取れない。「あけさ」で明け方の謂いか。お手上げ。識者の御教授を仰ぎたい。]
遁走によき距離蛇も吾も遁ぐ
[やぶちゃん注:この句は腑に落ちる。悪くない句である。]
炎天の鵜や遠かける羽づかひ
[やぶちゃん注:これも面白い。モンタージュが面白い。]
いたどりの酸さを渋さを弟(おと)に教せ
[やぶちゃん注:「酸さ」は「すさ」であろう。「教せ」は「をせ」か。しかし文法的に「教(を)す」という語は古語になく、無理がある。しかし、「けうせ(きょうせ)」では意味もおかしいし、韻律も頗る悪い。何となく川柳なら「教(を)せ」はありそうだが。意味は分かるがこれも何だかしっくりと腑に落ちない。お手上げである。とんでもない読み違いを私はしているのか? 識者の御教授を仰ぎたい。]
炎天下鉦が冴え音のチンドン屋
[やぶちゃん注:これもモンタージュとSEが効を奏した佳句と思う。]
わが夜床火虫に新参の青蛾加ふ
[やぶちゃん注:「新参」は「あらて」か。そうでも読まないと韻律が如何にも悪いのだが。鬼趣があって好きではあるが読み方が今一つ不審。
何か、この句群、孰れも用字も修辞も奇異で、路上パフォーマンスを眺めるようで、面白く感じながらも、今までの多佳子の句に感じない非常な戸惑いを覚える。全体に識者の眼から鱗の御見解を乞いたいというのが正直なところ。]
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