光源氏と日本郵政切手を偽造する夢 附 不完全なる和歌一首を詠む夢
宮中である――
僕は衣冠束帯をしているんである――
その僕の隣に光源氏がいるんである――
そうして二人して……日本郵便切手の多色刷りの切手を……手彫りの木版で……せっせと……偽造しているんである……
……その光景に……左右からすうっと……如何にもな、あの霞がかかって……僕と光は終に「源氏物語」の中の挿絵の一枚になってしまうのであった……
そこから目覚める直前――
「ぷらちなのさそりの尾枝垂(した)る……」
という和歌を僕は読もうとする…………
*
……というところで――
目が覚めてしまった。蒲団の中で何となく悔しかったんである。
何がって?! その和歌を最後まで聴きたかったからに決まってるじゃん!――
多分、「ぷらちなのさそりの尾し垂る」の後は「玉」か「露」だったように思うのだけれど……
にしてもロケーションといい、光源氏のギャラといい、切手の多色刷木版偽造の小道具といい、「ぷらちな」といい――実に「金」のかかった夢である――
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