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2014/12/22

寺山修司 俳句 やぶちゃん選

 [やぶちゃん注:恣意的に多くの漢字を正字化してある。]
 
 
影墜ちて雲雀はあがる詩人の死
 
マスクしてひとの別離を見つゝあり
 
法醫學・櫻・暗黑・父・自瀆
 
舟蟲や亡びゆくもの縱横なし
 
西日さす墓標ななめに蟻のぼる
 
雲切れし靑空白痴いつも笑あり
 
ジャズさむく捨てし吸殼地で濕る
 
ライオンの檻で西日の煙草消す
 
雪はげし一墓のために笹拓く
 
凍蝶とぶ祖國悲しき海のそと
 
故郷遠し線路の上の靑カエル

 

 

私が私の手遊び「アンソロジーの誘惑/奇形学の紋章」をノートに記したのは、実際には30年以上も前、二十代の頃のことであった。これもその頃の僕の感性を美事に反映している、如何にも「当時の僕」好みの句だ(若い俳句好きの方に是非お勧めすしたいのだが、10年位のスパンを置きながら偏愛する作家の句を多めに撰してどこか普段見ないところにストックしておくと面白い。これが後々見ると全然違った選句になっていて、自身の感性の変質を自ずと知るからである)今これらの句を眺めると、しばしば「剽窃」や「酷似」を非難される寺山の真骨頂の連射であることが分かる。但し、私は芸術は所詮須らく剽窃/インスパイアであると考える人間である。だから今や、ますます寺山が近しく感じられるようになってきている。因みに、
 
「影墜ちて」は原民喜の生涯の恐るべき希有の圧縮であり、


「マスクして」は丸尾末広の漫画の一齣であってよく(これは寧ろ丸尾のインスパイア)、


「法醫學」は鈴木しづ子の「好きなものは玻璃薔薇雨驛指春雷」に唱和して見え、


「雪はげし」「凍蝶とぶ」など確信犯でインスパイアされた師匠橋本多佳子がどう感じるかに興味を覚え、


芥川龍之介でさえ「故郷遠し」の句には微笑して首を縦に振るであろう……

 

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