日本その日その日 E.S.モース(石川欣一訳) 第十七章 南方の旅 不思議な縄文土器
図―584
我々は篠つく雨の中を大野村へ向って出発したが、間もなくずぶ濡れになり、終日この状態のままでいた。我々は、かぎられた時間で出来るだけ完全に貝塚の調査をした。我々は沢山の骨を手に入れたが、その中には大森の貝墟に於ると同じく、食人の証を示す人骨の破片もあった。一本の人間の脛骨は並外れに平たく、指数五〇・二という、記録された物の最低の一つである。また異常な形の陶器も発見された。一つの浅い鉢には、矢の模様がついていた(図584)。
[やぶちゃん注:「食人の証を示す人骨の破片」及び「脛骨は並外れに平たく、指数五〇・二」の箇所に就いては、「第十五章 日本の一と冬 大森貝塚出土の成人の扁平脛骨について」の注の、骨の食人痕跡(発掘した人骨に人為的に筋肉を引き剥がそうとする場合に相応の傷が生ずると推定される筋肉の附着箇所に著しい削痕や切創痕があること、割れ方の中には明確に人為的と観察されるものがあること等)及び扁平脛骨のブローカ指数についての私の注を参照されたい。
「異常な形の陶器」不詳。識者の御教授を乞う。
「矢の模様」このような模様は見かけない。識者の御教授を乞う。]
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