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2015/01/01

澄江堂遺珠 裏表紙見開き

Urabyousimihirakir


Urabyousimihirakil

 

[やぶちゃん注:裏表紙見開き。順に右(遊び側)と左(効き紙側)。芥川龍之介の直筆詩稿である。裏表紙見開きであるが、表紙側と同じく芥川龍之介の直筆詩稿でありながら、しかもその表側のそれとは違う箇所であるから、敢えてここに配した。以下、直筆原稿を可能な限り、活字化してみる。

●右(遊び側) 部分

『「澄江堂遺珠」関連資料』の『ノート2』の『頁36』稿と同一と思われる(岩波版新全集第二十三巻五八一~五八二頁)。

 

   妬し妬しと

   嵐は襲ふ松山に

   松の叫ぶも興ありや

   山はなだるる嵐雲

   松をゆするもおもしろし興ありや

   人を殺せどなほ飽かぬ

   妬み心をもつ身には

   妬み心になやみつつ

   嵐の谷を行く身に

 

   雲はなだるる峯々に

   ■■

   昔めきたる竹むら多き瀟湘に

   昔めきたる雨きけど

 

[やぶちゃん注:ここで下段にシフトしている。]

 

      嵐は襲ふ松山に

      松のさけぶも興ありや

      妬し妬しと

      峽をひとり行く身には

 

      人を殺せどなほ飽かぬ

      妬み心も今ぞ知る も知るときは

      山にふとなだるる嵐雲

      松をゆするも興ありや

 

『頁36』稿では「■■」抹消部分は『二字不明』とあるが、私には「生贄」と書いて抹消したかのように見える。また、下段の最初の「嵐は襲ふ松山に/松のさけぶも興ありや/妬し妬しと/峽をひとり行く身には」は『頁36』稿では生きているが、明らかに一気に斜線を三本も引いて抹消していることが分かる

 

●左(効き紙側)部分

前の稿の続き。『「澄江堂遺珠」関連資料』の『ノート2』の『頁37』稿と同一と思われる(岩波版新全集第二十三巻五八二~五八三頁)。

 

   竹むら多き瀟湘に

   夕の雨ぞ

   

 

   大竹むらの雨の音

   思ふ今は

   幽かにひと

 

   夜半は風なき窓のへに

   薔薇は

 

   古き都は來て見れば靑々と

   穗麥ばかりぞなびきたる

   朝燒け

 

[やぶちゃん注:ここで下段にシフトしている。]

 

      古き都に來て見れば

      路も

 

 

      幽かにひとり眠てあらむ

 

 

      わが急がする驢馬の上

      穗麥がくれに朝燒くるけし

      ひがしの空ぞわすられね

 

 

      ひがしの空は赤々と

      朝燒けし

 

『頁37』稿では、私が判読不能とした抹消字三字は存在しないことになっている。]

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