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2015/01/25

やぶちゃん版「澄江堂遺珠」関係原資料集成Ⅵ ■4 推定「第三號册子」(Ⅹ) 頁42~頁46

《頁42》

ひとをころせどなほあかぬ

ねたみごころもいまぞ知る

 

いづことわかぬ靄の中

かそけき月によはよはと

 

啼きづる山羊の聲聞けば

はろけき人ぞ戀ひがてぬ

遠き人こそ忘られね

かそけき月によはよはと

山羊は啼き靄の

はろけき人をおもほへば

山羊の聲

 

(いづことわかぬ靄のなか

(かそけき月によはよはと

(啼きづる山羊の聲すなり

山羊さへ妻を戀ふやらむ

《頁43》

(わが人戀ふる霧のなか

 

[やぶちゃん注:ここには特に編者によって、『この行は前頁から連續しており、これら全五行の上方には印あり』と注されてある。例の大きなスラーのような丸括弧であろうか? 試みに「(」を附して、ここのみ、《頁43》の前に空行を設けなかった。]

 

ひとをころせどなほあかぬ

ねたみごころもいまぞしる

垣にからめる薔薇の實も

いくつむしりてすてにけむ

 

(垣にからめる薔薇の實も

(いくつむしりて捨てにけむ

(ひとを殺せどなほあかぬ

(ねたみ心になやみつつ に燃ゆる日 の燃ゆる日に堪ふる日は

 

[やぶちゃん注:ここにも編者によって『以上四行、上方に印あり』とあるので、試みに「(」を附した。]

 

夜毎にきみと眠るべき

男あらずばなぐさまむ

 

《頁44》

  雪

ひとり山路を越え行けば

雪はかす幽かにつもるなり

ともに山路は越えずとも

ひとり眠(いぬ)べききみ君ならば

 

[やぶちゃん注:「いぬ」は底本ではルビ。このルビは本冊子の中では特異点である。他には先行では《頁3》と《頁10》の「小翠花(シヤウスヰホア)」と後掲する《頁54》の「象(かたち)」にしか認められない。]

 

夜空

 

  劉 園

人なき院にただひとり

古りたる岩を見て立てば

花木犀は見えねども

冷たき香こそ身にはしめ

 

《頁45》

ひとり山路を越え行けば

ひとり川べを見てあれば

雪は幽かにつもるなり

ともに川べは

ひとり眠ぬべき君ならば

ひとり山路を越え行けば

月は幽かに照らすなり

ともに山路は越えずとも

ひとり眠ぬべき君ならば

 

ひとり

雪は幽かにつもるなり

ともに

ひとり眠ぬべき君ならば

 

《頁46》

雨にぬれたる草紅葉

佗しき野路をわが行けば

かた 片山かげにただふたり

住まむ藁家ぞ眼に見ゆる

 

[やぶちゃん注:「片山」の文字が出現するのには正直、私は激しく驚いている。しかも直前の《頁44》《頁45》の詩篇には「越ゆ」が合計五回出現している。周知の通り、龍之介は片山廣子のことを「越し人(びと)」と呼んでいた。私の電子テクスト「やぶちゃん編 芥川龍之介片山廣子関連書簡16通 附やぶちゃん注」及び芥川龍之介「越びと 旋頭歌二十五首」などを是非、参照されたい。]
 

 

 

われら老いなばともどもに

穗黄なる穗麥を刈り干さむ

われら老いなばともどももろともに

穗麥もさわに刈り干さむ

 

われら老いなばともどもに

夢むは

穗麥刈り干す老ふたり

 

夢むは

穗麥刈り干す老ふたり

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