橋本多佳子句集「命終」 昭和三十二年 泉
泉
薔薇崩る切るに躊躇の長かりき
一切の混沌青嵐矢つぎばや
蜘蛛の囲の蝶がもがくに蝶が寄る
泉湧きあふる歓喜は静かならず
泰山木ひらき即ち古びに入る
深草にこゑ張りつめてぎすの昼
[やぶちゃん注:「ぎす」句柄の全体の印象から見てこれは間違いなく、直翅(バッタ)目キリギリス亜目(剣弁亜目キリギリス下目キリギリス上科キリギリス科キリギリス亜科
Gampsocleidini 族キリギリス属
Gampsocleis の真正キリギリス類であろう。ニシキリギリス Gampsocleis buergeri かヒガシキリギリス Gampsocleis Mikado かは、多佳子の居住地から(奈良市あやめ池町)からは見て微妙。]
露の空白鷺ちらと傍(わき)見して
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