尾形龜之助 「風」 心朽窩主人・矢口七十七中文訳
風
尾形龜之助
風は
いつぺんに十人の女に戀することが出來る
男はとても風にはかなはない
夕方 ――
やはらかいシヨールに埋づめた彼女の頰を風がなでてゐた
そして 生垣の路を彼女はつつましく歩いていつた
そして 又
路を曲ると風が何か彼女にささやいた
ああ 俺はそこに彼女のにつこり微笑したのを見たのだ
風は彼女の化粧するまを白粉をこぼしたり
耳に垂れたほつれ毛をくはへたりする
風は
彼女の手袋の織目から美しい手をのぞきこんだりする
そして 風は
私の書齋の窓をたたいて笑つたりするのです
风
作 尾形龟之助
译 心朽窝主人,矢口七十七
风 能够
跟十个女人同时谈恋爱
男人绝对敌不过它
傍晚 ——
它抚摸埋在软和披肩里的她脸蛋
于是 她端庄地走过篱笆旁边的路去了
然后
她拐弯它跟她低声私语了什么话了
啊!那瞬间我看见她的微笑了
有时候她化妆时风把她的香粉撒掉
咬一咬她耳朵边的蓬乱一撮头发
风
也有时候从她手套的线码窥视她美丽的手
还有 风
会敲打我书房的玻璃窗而笑起来
*
矢口七十七/摄


