五月短章 村山槐多
五月短章
一
美しき節會(せちゑ)の庭に
箜篌(たてごと)は何とひびかむ
我知らず我は唯ひたすらに
ひたすらに君を奏(かな)でん。
二
たそがれに物なむる風の美(うま)さよ
熱(あつ)き朧銀の日のたそがれに
或秒は君をなめまた或秒は
片戀の我をなむ
慄然と我等をばなむる風
[やぶちゃん注:「全集」では「慄然と我等をばなむる風。」と句点を打つ。]
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