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2015/06/04

毛利梅園「梅園魚譜」 ハコフグ

 
Hakohugu
 
皮籠海豚(カハゴフグ)

   〔海魚。〕

 〔ハコフグ。〕

 

 此の者、其の惣身、硬くして石のごとし。

 其の尾、鬣(ひれ)有る所、皆、穴ありて柔らかに

動く。海牛(スヾメフグ)の類なり。長嵜(ながさき)の海に

多し。東武、稀なる者。干したるは、多

く遠くより寄す。生なる者、始めて親

見(しんけん)す。

 

  乙未(きのとひつじ)十一月六日倉橋氏より、之れを送られ、

  眞寫す。

 

[やぶちゃん注:「梅園魚品図正」巻二より(掲げたのは国立国会図書館デジタルコレクションの「梅園魚品図正」の中の当該保護期間満了画像)。因みにこれはトリミングしたもので、上方にはピンクの発色の美しい「鬼頭魚」(オニカサゴ)の図が併載されてある。フグ目ハコフグ上科ハコフグ科ハコフグ属ハコフグ Ostracion immaculatus 。近年、紀伊半島以南には近縁種であるミナミハコフグ Ostracion cubicus の棲息が確認されているが、成魚のミナミハコフグには、ハコフグには見られない、幾つかの骨板上に小さなくっきりとした白い点が存在し、さらにその白点周縁に接してやはり小さな黒色の点或いは線が見られるので、識別は比較的容易である。幼魚では体側の黒色斑が眼径大であることでやはりハコフグと区別出来る。可能「WEB魚図鑑」のミナミハコフグ」の画像を参照)。サイト「プライベート・アクアリウム」の「イシガキフグ」によれば、ハコフグは本邦では本州以南に広く分布し、特に岩手から四国にかけての太平洋側に多く見られるが、琉球には生息していないとも言われている。『体は側扁しているが、切り口(横断面)は四角形に近い特徴的な体つきをして』おり、『全身は鱗が変形した硬い甲板で覆われていて、吻は突出している』。大きな特徴として、『歯はフグやハリセンボンの仲間のように癒合して嘴状になるのではなく、カワハギのように突出した吻にノミ状の歯が集まったようになっている』点である。『また、腹びれはなく、背びれやしりびれは小さいが、尾びれは大きく、後縁は丸みを帯びている』。『泳ぎは体が硬いこともあってうまくはない』。『体色は黄色や黄褐色などで、青や青緑色の円形の斑が見られ、幼魚では黄色地に黒色や濃青緑色の小さな斑が散在して』いる。『背と腹には一対の隆起線があり、各ひれは黄色』を帯びる。沿岸性で、通常は水深五十メートルよりも浅い岩礁域などに棲息、『ハコフグの中ではもっとも普通に見られ、普段は単独で生活し、小型の甲殻類やゴカイ類、海綿、貝類などを食べる』雑食性である。『ハコフグは皮膚から』パフトキシンという粘液性の毒を『出すが、フグ科と違って肉や内蔵には毒がなく、甲板を取り除いて食用に利用される』(刺身も美味く、五島列島の郷土料理として知られる味噌詰焼きがは絶品と聴くのだが、残念なことに私は未だ食したことがない)。但し、『中にはアオブダイやソウシハギなどのようにパリトキシンに似た毒性物質をもっていて、重い中毒を起こすこともあるので、食用には充分に注意する必要がある』ともある。……最強の海産毒マイトトキシン( maitotoxin :有毒渦鞭毛藻 Gambierdiscus toxicus 由来のシガテラ毒。テトロドトキシンン (tetrodotoxin, TTX)の二百倍とされる)に次ぐパリトキシン( palytoxin :ハワイのスナギンチャクから単離され、アオブダイ食中毒の原因に同定されており、類縁体の第一生産者は有毒渦鞭毛藻 Ostreopsis siamensis と考えられている毒素。これも無論、TTXより強い)似かいな……ウーム、悩ましいのぅ。……なお、望月賢二氏の「魚の手帖」によれば、カクフグ(高知県安芸)・コウゴウフグ(広島県賀茂郡。「金剛」の訛りであろう)・ハコマクラ(和歌山県和歌山市雑賀(さいが)崎)といった地方名が挙げられてある。また望月氏は特にこのハコフグの図について『形態、色彩とも本種の特徴をよくとらえている』と特に名指しで褒めておられる。

「海牛(スヾメフグ)」ハコフグ科コンゴウフグ属ウミスズメ Lactoria diaphana 。ネット上の記事を読むと、最近、市場ではハコフグと一緒くたにされて売買されているようであるが、ウミスズメには眼の上部や尻鰭の基部の前方に短い棘状突起があることで容易に識別出来る。

「乙未十一月六日」天保六年。西暦では一八三五十二月二十五日。

「倉橋」不詳乍ら、鸚鵡螺に出る倉橋尚勝なる人物と同一人物と思われる。]

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