ひゞき 村山槐多
ひゞき
ひゞききこゆる
美しき物美しき物をつらねし
(鎖の如くゆるる)
春銀の春の想ひに
或る時は泣きしきり
また或る時は
毒の草入れたるくしげ見る如く
痛くわななく
血に重き貴女の寶玉
愁ひたる夕暮の空は
一杯にあはれわが聞く
或るひゞき
そのひゞき
或る時は都に天に、紫の山にきく
ただ君が美しさにも
わが重き想ひの中に、
[やぶちゃん注:「全集」では最終連最終行末尾は句点。]
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