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2015/06/15

生物學講話 丘淺次郎 第十二章 戀愛(11) 四 歌と踊り(Ⅳ) コヤドリ(アズマヤドリ)

Koyadorinoodoriba

[小屋鳥の踊り場]

[やぶちゃん注:この写真のみ、底本のそれは粗く汚いので、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を少し明るく補正して用いた(後の二枚は底本のもの)。]

Koyadorinoissyu

[小屋鳥の一種]

 

[この類はオーストラリヤ地方に産する 木の枝を組み合わせて稍廣い遊び小屋を造り美しい貝殼、花、玉蟲、硝子の破片等でこれを飾り立てその内で雌雄とも踊り樂む 巣は別にある]

 

 以上の如き特殊の擧動をするものは鳥類には甚だ多いが、その外になほ面白い舞踊をする種類がある。その最も著名なのは、オーストラリヤに産する「小屋鳥」と名づける類で、この鳥は普通の巣の外に踊をするための遊び場處を定め、または遊び小屋を拵へる。踊り場處を定めて踊る種類では、まづ樹木の蔭になる平坦な地面を選び、よく掃除して淸潔にし、裏面の銀色に光る大きな木の葉などを集めて來て、裏面を上に向けて適宜にこれを竝べ飾り、場所の周圍には白くなつた「かたつむり」の殼や骨などを散して置く。また小屋の造り方は種類によつて少しづつ違ふが、まづ樹の枝を多く集め、これを密に組み合わせて床を造り、その兩側には稍々細長い枝を竝べ立て、枝の上部を互に組み寄せて屋根とする。面白いことには、この鳥はさまざまのものを用ゐて小屋を出來るだけ飾り立てる。例へば、「いんこ」の尾羽の赤いのや靑いのを枝の間に挾み、美しい介殼や硝子の破片、光つた石などを入口の前に竝べたりするが、往々原住土人の住家から攫つて來ることもある。土人は鳥のこの習性を知つて居るから、何か美しい色の物が紛失すると、また小屋鳥が盜んで行つたのではないかと、小屋のところへ探しに行くが、大概はそこで見附かるといふ。また美しい色の花を用いて小屋を飾るが、これは毎日萎れると新しいのと取り換へ、古い花は小屋の後へ捨てる。鳥の大きさは多くは「からす」より小さく、小屋は大きなのも小さなのもあるが、まづ一米内外のが多い。さてこの小屋は何の役に立つかといふに、全く娯樂のためで、雌雄は小屋に入つたり出たりして舞ひ踊り、互に追ひ廻したりして遊ぶ間に結局、雌は喜んで雄の意に隨ふやうになるのである。

Torinoodori

[鳥の踊]

 

[やぶちゃん注:現在の標準和名はスズメ目スズメ亜目ニワシドリ上科ニワシドリ科 Ptilonorhynchidae に属するニワシドリ(庭師鳥)類で、他にコヤツクリ(小屋造)・アズマヤドリ(東屋鳥)などとも呼称し、英名“Bowerbird”“bower”は「四阿(あずまや)」の意である。ウィキニワシドリ科」によれば、八属二十種がいる。

 ネコドリ属 Ailuroedus

 ハバシニワシドリ属 Scenopoeetes

 パプアニワシドリ属 Archboldia

 カンムリニワシドリ属 Amblyornis

 オウゴンニワシドリ属 Prionodura

 フウチョウモドキ属 Sericulus

 アオアズマヤドリ属 Ptilonorhynchus

 マダラニワシドリ属 Chlamydera

『オセアニア区のオーストラリアとニューギニアに』棲息し、全長は二〇~四〇センチメートルで、『概して地味な羽色だが、一部の種の雄は派手な色の羽や飾り羽を持つ』。『森林ないし疎林に住み、果実・種子など植食を主食とするが、昆虫なども食べ』、『ネコドリ属以外は、雌だけで造巣・抱卵・育雛をする』。『雄は繁殖期が近づくと』、直径一~三メートルほどの『区域から落ち葉や枯れ枝などを除いて、ニワシドリの名の由来となった「コート(court、庭)」にし、さらにその中に大きな小屋型の構造物「バワー(bower、あずまや)」を作る。なおこれは巣ではなく、巣はこれとは別に雌が単独で作る』。『バワーにはさまざまな種類があるが、大きく「メイポール(maypole)」(「スピア(spire)」を含む)と「アベニュー(avenue)」とに分かれる』『ニワシドリ科は伝統的に、メイポールビルダー、アベニュービルダー、バワーを作らないものの』三つのグループに分けられてきた(リンク先に各グループの違いを示す表有り)。チャイロニワシドリ Amblyornis inornatus『などは、若木の周りに、水平にした小枝を積み上げた「メイポール」を作る。メイポールの高さは最大』二・五メートルにも達する巨大なものである。『メイポ-ルの周囲はコケが円型に敷かれ、その周囲には小枝などさまざまな装飾品が積まれる』。マダラニワシドリChlamydera maculata、アオアズマヤドリ Ptilonorhynchus violaceus『などは、乾燥した草の茎を多数立てて壁状にし、一対の壁で挟まれた「アベニュー」(道)を作る。アベニューの入り口には、小石、骨、貝殻、ガラス片など(どのようなものが好まれるかは種によって異なる)が散らばって置かれる』。『バワーを訪れた雌は、草に囲まれたアベニューの中に入る。雄はアベニューの外で、激しいディスプレイをする。草の壁はまばらなので、雌は壁を透かして雄のディスプレイを見ることができる』ようになっている。何よりグーグル画像検索「Ptilonorhynchidaeが必見。派手ではないが、バワー造りの様子が良く分かるWorld's Weirdest - Bowerbird Woos Female with Ringなど、動画でも生態を多く見ることが出来る。]

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