君に 村山槐多
君に
げに君は夜とならざるたそがれの
美しきとどこほり
げに君は酒とならざる麥の穗の
靑き豪奢
すべて末路をもたぬ
また全盛に會はぬ
凉しき微笑の時に君はあり
とこしなへに君はあり
されば美しき少年に永くとどまり
その品よきぱつちりとせし
眼を薄く寶玉にうつし給へり
いと永き薄ら明りにとどまる
われは君を離れてゆく
いかにこの別れの切なきものなるよ
されど我ははるかにのぞまん
あな薄明に微笑し給へる君よ
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君に
げに君は夜とならざるたそがれの
美しきとどこほり
げに君は酒とならざる麥の穗の
靑き豪奢
すべて末路をもたぬ
また全盛に會はぬ
凉しき微笑の時に君はあり
とこしなへに君はあり
されば美しき少年に永くとどまり
その品よきぱつちりとせし
眼を薄く寶玉にうつし給へり
いと永き薄ら明りにとどまる
われは君を離れてゆく
いかにこの別れの切なきものなるよ
されど我ははるかにのぞまん
あな薄明に微笑し給へる君よ