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« 橋本多佳子句集「命終」  昭和三十四年 紀南 | トップページ | 生物學講話 丘淺次郎 第十三章 産卵と姙娠(2) 一 卵生(Ⅰ) »

2015/07/11

生物學講話 丘淺次郎 第十三章 産卵と姙娠(1) 緒言

  第十三章 産卵と姙娠

 

 受精が體外で行はれる動物では、卵はまだ子とならぬ前に親の體から出で去るから、子が直に親から生まれるといふことはないが、精蟲が雌の體内に入り來る種類では、子の生涯はまづ母の體内で始まり、或る期限の後に生まれ出ることになる。この期限内の雌の狀態を姙娠と名づける。その長さは動物の種類によつて著しく違ひ、蠶の如くに數分に過ぎぬものもあれば、雞の如くに十數時間を經るものもあり、また牛・馬・人間などの如くに九箇月乃至一年に達するものもある。精蟲と卵細胞とが合しても、その大きさは卵細胞だけの時と少しも違はぬから、早く生まれるものでは、子は殆んど受精前の卵と同じ姿で生まれるが、長く母の體内に留まる類では、その間に子は絶えず發育變形して元の卵とは全く形狀の異なつたものとなつて世に現れる。通常卵のまゝで生まれるのを卵生といひ、親と同じ形を具へて生れるのを胎生と名づけて區別するが、卵生にも胎生にもさまざまな階段があつて、産まれた卵の殼の内に幼兒が十分に發育して居る場合もあれば、まだ親の形に似ない不完全な幼兒が裸で産み出されることもあるから、この区別は決して重要なものではない。たゞ普通に人の知つて居る動物の中で、獸類は悉く胎生し、鳥類は殘らず卵生するから、昔から特に人の注意を引いたのである。

[やぶちゃん注:「その長さは動物の種類によつて著しく違ひ」Thayer Watkins氏の妊娠期間および動物のスケール(機械翻訳らしい邦文頁)のデータによれば、

人間       266日

チンパンジー   227日

ゴリラ      257日

オランウータン  260日

ヒヒ       187日

牛        284日

バイソン     270日

アメリカヘラジカ 245日

ラマ       330日

ヤギ       150日

ヒツジ      148日

クマ       210日

オオカミ      64日

アジア象     645日

アフリカ象    640日

ライオン     108日

ヒョウ       94日

ブタ       114日

ウサギ       33日

とある。その他のサイトで追加しておくと、妊娠期間の最短は、

オポッサム     12日~14日/最短8日

とあり(オポッサム(opossum)は原始的な形態を保存する有袋類で、オーストラリアに多い同類の中では例外的に、北アメリカ大陸から南アメリカ大陸にかけて棲息している。獣亜綱後獣下綱有袋上目オポッサム目オポッサム科 Didelphidae に属し、七十種以上の種が含まれる。これは有袋類中、最多である。以上はウィキオポッサムに拠る)、次いで

ハムスター     14日~30日

辺りがくるらしい。他に、

イヌ        60日

バンダ       80日~200日

クジラ      350日

ともある。他の情報でもゾウが妊娠期間の最長例とあって、最も長い場合は二十八箇月とあるから、

ゾウ     最長840日

ということになる。

「蠶の如くに數分に過ぎぬ」但し、東京農工大学公式サイト内で見つけたカイコの受精生理を読むと、実際には交尾したカイコガの♂♀は、♂の外部生殖器にある確実な交尾を行うための鈎状の捕握器がなかなか外れずに交尾状態がずっと(三十から一時間以上)続くため、人為的に割愛(雌雄を捩って引き離す)さないと離れないとあることから、丘先生のそれは自然状態ではなく、養蚕に於いてその割愛を即座に行うと直ちに産卵がなされる事実観察に基づくものであるように思われる。]

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