木と空に 村山槐多
木と空に
木が風にふるへる
死神の眼の樣にくらい葉が
ざわざわとゆらぐ
絶えまなく葉は光る
命がその度に輝やく
幽な紫に
私の命が
もどかしさうに哀しさうに
空が木をみつめて居る
絶えまなくふるへる木を
それから私を
その空をふつと風が吹き消す
私はまばたきする
命は消えさうだ
[やぶちゃん注:注するまでもなく、この強烈な死神蠟燭のようなイメージは明確に結核発症後の詩篇と読める。]
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木と空に
木が風にふるへる
死神の眼の樣にくらい葉が
ざわざわとゆらぐ
絶えまなく葉は光る
命がその度に輝やく
幽な紫に
私の命が
もどかしさうに哀しさうに
空が木をみつめて居る
絶えまなくふるへる木を
それから私を
その空をふつと風が吹き消す
私はまばたきする
命は消えさうだ
[やぶちゃん注:注するまでもなく、この強烈な死神蠟燭のようなイメージは明確に結核発症後の詩篇と読める。]