泣け人々 村山槐多
泣け人々
泣け人々美しき涙を見せよ
悦びて泣け悲しみを悦べよ
涙を賞ししめりたる汝が神經の
薄明りに身をすてよ
ただひとときを泣け人よ
よし薄紅の櫻花火を交え
酒注ぐ人も醉ひて燈赤くともるとも
泣け人々ただ春ある故に
汝ある故に、泣け人々よ
涙を出だせ美しき汝が寶玉を
[やぶちゃん注:「交え」はママ。「汝ある故に、泣け人々よ」の読点は「全集」では、ない。「に」「泣」の字間は狭いが、底本の他の箇所を見ると字間なく読点が打たれている箇所があり、拡大して見てもこれは――読点に見えるただの汚れ――ではなく、確かに読点と私は判断する。またここに打って何ら、おかしくない。]
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