祈る乙女 夢野久作 (歌曲歌詞)
[やぶちゃん注:以下は西原和海編「夢野久作著作集 1」に載る「祈る乙女」という詩(歌曲歌詞)である。これは西原氏の解題によれば、前の「夏の夜」と同じく大正一三(一九二四)年九月三十一日発行の『月刊ふたば楽譜』第三十一・三十二合編号に「杉山泰道」名義で所収されたもので、横田三郎氏の譜面とともに載るとある(以下、「夏の夜」の私の冒頭注を参照のこと)。]
祈る乙女
春の朝(あした)のうらゝな光りに
眞(まこと)に眞に手を合はすれば
ひらりひらり燕の群が
空の果から翻(ひるがへ)り來(きた)る
空の果から翻り來る
祈りて明し祈りて暮せば
いつか醒(め)ざむる乙女の心
眞(まこと)眞と輝き渡る
靑い涼しい若葉の世界に
靑い涼しい若葉の世界に
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