赤き火事あと 村山槐多
赤き火事あと
赤しあかし痛ましき火事のあと
そはいまだ蛇の舌に似たり
紫の水蒸氣の奔騰
赤く崩る
ああ凄慘たる晝なるかな
幽なる悲哀と激しき狂ひ泣きと
うれしさと豪放と交々あり
赤しあかし一夜の燃燒のあと
すべて灰塵となれり
美しとにかくに火事のあとは
[やぶちゃん注:老婆心乍ら、「交々あり」は「こもごもあり」と読む。本篇で大正三(一九一四)年のパートが終わる。]
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赤き火事あと
赤しあかし痛ましき火事のあと
そはいまだ蛇の舌に似たり
紫の水蒸氣の奔騰
赤く崩る
ああ凄慘たる晝なるかな
幽なる悲哀と激しき狂ひ泣きと
うれしさと豪放と交々あり
赤しあかし一夜の燃燒のあと
すべて灰塵となれり
美しとにかくに火事のあとは
[やぶちゃん注:老婆心乍ら、「交々あり」は「こもごもあり」と読む。本篇で大正三(一九一四)年のパートが終わる。]