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2015/09/27

忘れてしまつて   立原道造

    忘れてしまつて

 

深い秋が訪れた!(春を含んで)

湖は陽にかがやいて光つてゐる

鳥はひろいひろい空を飛びながら

色どりのきれいな山の腹を峽の方に行く

 

葡萄も無花果も豐かに熟れた

もう穀物の收穫ははじまつてゐる

雲がひとつふたつながれて行くのは

草の上に眺めながら寢そべつてゐよう

 

私は ひとりに とりのこされた!

私の眼はもう凋落を見るにはあまりに明るい

しかしその眼は時の祝祭に耐へないちひささ!

 

このままで 暖かな冬がめぐらう

風が木の葉を播き散らす日にも――私は信じる

靜かな音樂にかなふ和やかだけで と

 

 

[やぶちゃん注:底本は国立国会図書館近代デジタルライブラリーの昭和二二(一九四七)年角川書店刊立原道造「詩集 優しき歌」の画像を視認した。生前刊行の処女詩集「萱草に寄す」の知られた一篇で、「SONATINE No.2」の第三篇。老婆心乍ら、「峽」は「かひ(かい)」と読み、尾根の間の狭く細長い谷を指し(元は「山の交(か)ひ」の謂いである)、「凋落」は「てうらく(ちょうらく)」と読み、草木の生気が衰え凋(しぼ)み枯れることをいう。「深い秋が訪れた!」と同時に括弧書き乍ら「春を含んで」とやらかす若々しい新しい、それでいて不可思議な哀感を含羞した抒情の放声が素敵に哀しい。]

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