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2015/09/24

逝く晝の歌   立原道造

    逝く晝の歌

 

私はあの日に信じてゐた――粗い草の上に

身を投げすてて あてなく眼をそそぎながら

秋を空にしづかに迎へるのだと

秋はすすきの風に白く光つてと

 

さうならうとは 夢にも思はなかつた

私は今ここにかうして立つてゐるのだ

岬のはづれの岩の上に あらぶ海の歌に耳をひらいて

海は 波は 單調などぎつい光のくりかへしだ

 

どうして生きながらへてゐられるのだらうか

死ぬのがただ私にはやさしくおそろしいからにすぎない

美しい空 うつくしい海 だれがそれを見てゐたいものか!

 

捨てて來たあの日々と 愛してゐたものたちを

私は憎むことを學ばねばならぬ さうして

私は今こそ激しく生きねばならぬ

 

 

[やぶちゃん注:底本は国立国会図書館近代デジタルライブラリーの昭和二二(一九四七)年角川書店刊立原道造「詩集 優しき歌」の画像を視認した。底本の第二部、堀辰雄らが抄出した初期詩篇二十七篇の中の一篇。中公文庫「日本の詩歌」第二十四巻脚注によれば、『四季』昭和一一(一九三六)年十月号に前に示した「甘たるく感傷的な歌」とともに発表されたものである。]

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