夢見たものは‥‥ 立原道造
Ⅹ 夢見たものは‥‥
夢見たものは ひとつの幸福
ねがつたものは ひとつの愛
山なみのあちらにも しづかな村がある
明るい日曜日の 靑い空がある
日傘をさした 田舍の娘らが
着かざつて 唄をうたつてゐる
大きなまるい輪をかいて
田舍の娘らが 踊ををどつてゐる
告げて うたつてゐるのは
靑い翼の一羽の 小鳥
低い枝で うたつてゐる
夢みたものは ひとつの愛
ねがつたものは ひとつの幸福
それらはすべてここに ある と
[やぶちゃん注:底本は国立国会図書館近代デジタルライブラリーの昭和二二(一九四七)年角川書店刊立原道造「詩集 優しき歌」の画像を視認した。生前の道造が最後に構想していた幻の詩集「優しき歌」の原稿(当時、中村真一郎が所蔵)をもとに推定された詩集「優しき歌」(「序」及び「Ⅰ」から「Ⅹ」のナンバーを持つ詩篇群)の最終篇である。]

