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2015/09/29

やがて秋‥‥   立原道造

  Ⅱ やがて秋‥‥

 

やがて 秋が 來るだらう

夕ぐれが親しげに僕らにはなしかけ

樹木が老いた人たちの身ぶりのやうに

あらはなかげをくらく夜の方に投げ

 

すべてが不確かにゆらいでゐる

かへつてしづかなあさい吐息にやうに‥‥

(昨日でないばかりに それは明日)と

僕らのおもひは ささやきかはすであらう

 

――秋が かうして かへつて來た

さうして 秋がまた たたずむ と

ゆるしを乞ふ人のやうに‥‥

 

やがて忘れなかつたことのかたみに

しかし かたみなく 過ぎて行くであらう

秋は‥‥さうして‥‥ふたたびある夕ぐれに――

 

 

[やぶちゃん注:底本は国立国会図書館近代デジタルライブラリーの昭和二二(一九四七)年角川書店刊立原道造「詩集 優しき歌」の画像を視認した。生前の既刊詩集「曉と夕の詩」の第三曲。中公文庫「日本の詩歌」第二十四巻脚注によれば、『四季』昭和一二(一九三七)年十月号にローマ数字を外した題で(底本は総てのリーダが二点であるが、初出は不詳乍ら、「やがて秋」の後は一般的な「……」であろうとは思われる)発表されたものを初出とする。]

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