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2015/10/11

夢のあと――優しき歌Ⅳ ヴァリエイション   立原道造

  夢のあと

    ――優しき歌Ⅳ ヴァリエイション

 

嘗(かつ)てを

けふと

區別する

光のなかで

 

おまへの心は

うたふ 花だつた

おまへの心は

咲く 小鳥だつた

 

むしろ しめつた 春の風の

かへつて來るときには

忘れるがいい

 

ほほゑみが 淡く 描いた

さざなみを いつかは 時が

消して行つた 嘗てのやうに!

 

 

[やぶちゃん注:この詩篇の底本は昭和四三(一九六八)年新潮社刊「日本詩人全集」第二十八巻の「立原道造」(中村真一郎編)を用いたが、恣意的に漢字を正字化した。

 本篇は副題に「優しき歌Ⅳ ヴァリエイション」とあるものの、「優しき歌Ⅳ」(実際表記「IIII 夢のあと」)とは、有意に詩想の異なるもので、全く別な詩篇ととった方がよい。恐らくは推敲の中で――というよりも、時間の経過とその間の何らかの事変によって――詩人の感情と意識に大きな変異が起ったものと思われる。私は決定稿「IIII 夢のあとの方が遙かに素敵に迷妄的絶望的で――好き――である。]

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