夢のあと――優しき歌Ⅳ ヴァリエイション 立原道造 【このダッシュ以下は道造が打ったものではない!】
夢のあと
――優しき歌Ⅳ ヴァリエイション
嘗(かつ)てを
けふと
區別する
光のなかで
おまへの心は
うたふ 花だつた
おまへの心は
咲く 小鳥だつた
むしろ しめつた 春の風の
かへつて來るときには
忘れるがいい
ほほゑみが 淡く 描いた
さざなみを いつかは 時が
消して行つた 嘗てのやうに!
[やぶちゃん注:この詩篇の底本は昭和四三(一九六八)年新潮社刊「日本詩人全集」第二十八巻の「立原道造」(中村真一郎編)を用いたが、恣意的に漢字を正字化した。
本篇は副題に「優しき歌Ⅳ ヴァリエイション」とあるものの、「優しき歌Ⅳ」(実際の表記は「IIII 夢のあと」)とは、有意に詩想の異なるもので、全く別な詩篇ととった方がよい。恐らくは推敲の中で――というよりも、時間の経過とその間の何らかの事変によって――詩人の感情と意識に大きな変異が起ったものと思われる。私は決定稿「IIII 夢のあと」の方が、遙かに素敵に迷妄的絶望的で――好き――である。
【2026年3月29日タイトルに【 】で追加注附加・追記】本日、先程、正しい本篇の正規表現版の「立原道造草稿詩篇 夢のあと」を公開した。これが、道造の記したタイトルではなく、旧角川書店全集の編者神保光太郎氏が勝手に附したものであることが判明した。証拠は、リンク記事の私の注の引用を参照されたい。こういう事実は、殆んど知られていないので、このページは残すこととした。]

