橋本多佳子 生前句集及び遺稿句集「命終」未収録作品(13) 昭和十三(一九三八)年 十二句
昭和十三(一九三八)年
露のあさ斷たれし髮は肩蔽はず
荒るゝ關門 四句
雪荒れて舷梯の階あるのみなり
雪昏らく落潮舷をとよもせり
船名もなく海峽の雪に繫る
吹雪去り峽港靑き潮ながれ
泊つる燈に雨降り枇杷の花香り
[やぶちゃん注:「燈」は底本のママ。]
霜ひかり斑の牛を地にをける
雷火去り火口斷層面匂へり
灼くる斷層垂直に匍ひのぼれり
火口壁地層を厚く灼け曝らす
潮灼けて歩廊連絡船を置く
夏潮に古き巨船が煤をふらす
[やぶちゃん注:以上、『馬醉木』掲載分。多佳子、三十九歳。]
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