「笈の小文」の旅シンクロニティ――面白し雪にやならん冬の雨 芭蕉
本日 2015年12月24日
貞享4年11月20日
はグレゴリオ暦で
1687年12月24日
鳴海出羽守氏雲(うぢくも)宅にて
面白し雪にやならん冬の雨
「俳諧 千鳥掛」(知足編・正徳二(一七一三)年序)より。「笈の小文」には載らない。この貞享4年11月16日、芭蕉は知多の杜国訪問を終え、名古屋鳴海の知足亭に戻った。その四日後の11月20日、刀鍛冶で鳴海六俳仙の一人であった自笑(岡島佐助。「氏雲」は刀匠としての号)亭で芭蕉・自笑・知足と三吟三つ物(発句・脇・第三)をものした。
面白し雪にやならん冬の雨 桃靑
氷をたゝく田井の大鷺 自笑
船繫ぐ岸の三股荻かれて 寂照
寂照は知足の法名。「如行子」には、
同二十日の日なるみ鍛冶出羽守饗(まうけ)に
という前書がある。但し、同「如行子」では「面白や雪にやならん冬の雨」で載るが、採らない。
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