梅崎春生「地図」より
相手を殺して自分も死ぬ。相手を犬ころのように殺戮して、ゆうゆうと自分も美しく死ぬ。しかし誰が相手であろう。庄倉は裁縫室でうずくまり、女先生の匂いを思い出した。あの先生が憎いのではない。敵は居ない、という意識が彼の気持を淋しくさせた。
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相手を殺して自分も死ぬ。相手を犬ころのように殺戮して、ゆうゆうと自分も美しく死ぬ。しかし誰が相手であろう。庄倉は裁縫室でうずくまり、女先生の匂いを思い出した。あの先生が憎いのではない。敵は居ない、という意識が彼の気持を淋しくさせた。