「笈の小文」の旅シンクロニティ―― 神垣やおもひもかけず涅槃像 芭蕉
本日 2016年 3月16日
貞享5年 2月15日
はグレゴリオ暦で
1688年 3月16日
十五日、外宮(げくう)の館(たち)にて
神垣(かみがき)やおもひもかけず涅槃像(ねはんざう)
真蹟懐紙。この日、二月十五日は涅槃会(え)である。「笈の小文」には不載。
「館」は館町(たちまち)のことで、伊勢神宮外宮神苑北側に接する神官らの屋敷町(新潮日本古典集成「芭蕉句集」の今栄蔵氏の注に拠る。現行の行政地名にはない)。
本句は「金葉和歌集」巻第九の「雑部上」に載る六条右大臣北方の一首(五四八番歌)、
神垣のあたりと思ふ木綿襷(ゆふだすき)おもひもかけぬ鐘のこゑかな
のインスパイアである。
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