「笈の小文」の旅シンクロニティ―― 盃に泥な落としそむら燕 芭蕉
本日 2016年 3月17日
貞享5年 2月16日
はグレゴリオ暦で
1688年 3月17日
楠部(くすべ)
盃に泥な落としそむら燕(つばめ)
「笈日記」。「笈の小文」には不載。菩提山神宮寺跡(次の「此山のかなしさ告よ野老掘」を参照)へ向かう途次の茶店などで詠まれた即興ではないかと推定されている。「楠部」は現在の伊勢市楠部町(ちょう)で伊勢神宮内宮の北凡そ二キロメートル、菩提山神宮寺跡方向へ向かう途中にある。
真蹟に、
盃に泥な落としそ舞ふ燕
また、「砂燕」(寸虎編・元禄一四(一七〇一)年刊)には、
盃に泥な落としそ飛ぶ燕
と出る。私は圧倒的に「むら燕」がよい。
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