真昼 原民喜
真昼
うつとりとお前の一日がすぎてゆくほとりで、何の不安もなく伸びてゐたものがある。それは小さな筍が竹になる日だつた。そよ風とやはらかい陽ざしのなかに、縺れてほほゑむ貌は病んでゐたが。
[やぶちゃん注:私が私の「原民喜全詩集」 で底本とした一九七八年青土社刊「原民喜全集 Ⅱ」の書誌によれば、昭和二三(一九四八)年七月号『高原』に初出。底本では「だつた」の箇所だけが、拗音化して「だった」となっているが、総標題「画集」中の他の総てが歴史的仮名遣で拗音表記していない以上、これは底本自身の誤りと採って、特異的に拗音化を避けた。老婆心乍ら、「縺れて」は「もつれて」と読む。「貌」は「かほ(かお)」と訓じたい。]
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