部屋 原民喜
部屋
小さな部屋から外へ出て行くと坂を下りたところに白い空がひろがつてゐる。あの空のむかふから私の肩をささへてゐるものがある。ぐつたりと私を疲れさせたり、不意に心をときめかすものが。
私の小さな部屋にはマッチ箱ほどの机があり、その机にむかつてペンをもつてゐる。ペンをもつてゐる私をささへてゐるものは向に見える空だ。
[やぶちゃん注:私が私の「原民喜全詩集」 で底本とした一九七八年青土社刊「原民喜全集 Ⅱ」の書誌によれば、昭和二三(一九四八)年七月号『高原』に初出。]
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