芥川龍之介「侏儒の言葉」(やぶちゃん合成完全版 附やぶちゃん注釈) ユウトピア
ユウトピア
完全なるユウトピアの生れない所以は大體下の通りである。――人間性そのものを變へないとすれば、完全なるユウトピアの生まれる筈はない。人間性そのものを變へるとすれば、完全なるユウトピアと思つたものも忽ち不完全に感ぜられてしまふ。
[やぶちゃん注:大正一三(一九二四)年四月号『文藝春秋』巻頭に前の「醜聞」「輿論」それぞれ二章と「敵意」及び後の「危險思想」「惡」の全八章で初出する。「ユウトピア」は「地上樂園」の私の諸注を見よ。
・「下」「しも」。以下。
・「人間性」人間を人間たらしめていると各人が考えるところの「本性」なるもの。実に興味深いことに「侏儒の言葉」群には「人間性」という言葉はここにしか出現しない。「人間らしさ」は正に括弧書きで前に出た。そちらの私の注を見よ。]
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