昨日と今日とがいりまじる 立原道造
昨日と今日とがいりまじる
昨日と今日とがいりまじる
僕のなかの 深い淵に
萎(な)えた僕のにくしみよ
身を投げるがいい 消えるがいい
おまへが眠れようが 眠れまいが
僕の知つたことではないのだ
この あはれな 恥も知らない魂よ
出て行くがいい くらい夜のなかへ
外に 秋は まだつづいてゐる
靑白くつめたい光が
蟲たちをうたはせてゐる
だれが ここに 耐へてゐて
明日を待ちわびてゐる?
聞くすべもない 大きな 夜の歌
[やぶちゃん注:底本の「後期草稿詩篇」より。]