北 立原道造
北
ちひさな耳の きき分けない
秋の歌は 空のあちらを
渡つてゐるやうだ――
山が 日に日に 色をかへはじめる
私の行けないあのあたりで
まだもつと向うに何かがある
靑い嘴を持つ小鳥らが
それを私に告げながら
枝に疲れをやすめてゐる
[やぶちゃん注:底本の「後期草稿詩篇」より。]
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北
ちひさな耳の きき分けない
秋の歌は 空のあちらを
渡つてゐるやうだ――
山が 日に日に 色をかへはじめる
私の行けないあのあたりで
まだもつと向うに何かがある
靑い嘴を持つ小鳥らが
それを私に告げながら
枝に疲れをやすめてゐる
[やぶちゃん注:底本の「後期草稿詩篇」より。]