もつとたのしくて 立原道造
もつとたのしくて
もつとたのしくてよいでせう
明るい色に塗りませう
わるい筆だがかまはずに
もつとたのしく描きませう
これはお前の似顏です
似てない姿がとりえです
☆
二十一歳の下手な繪描きは
木曜日毎に水彩畫をこしらへ
そのあとですつかり困つた あまり下手であつたから 彼は何かを諦めてしまつたやうなかなしみであつた 雨が降つても繪を描いて
木曜日の晩毎くらい町を步いてゐた
☆
お祭がをはつた
[やぶちゃん注:すでに述べた底本の「エチユード」より。]