芥川龍之介「侏儒の言葉」(やぶちゃん合成完全版 附やぶちゃん注釈) 自然
自然
我我の自然を愛する所以は、――少くともその所以の一つは自然は我我人間のやうに妬んだり欺ゐたりしないからである。
[やぶちゃん注:既出の「幼兒」の第一章、「我我は一體何の爲に幼い子供を愛するのか? その理由の一半は少くとも幼い子供にだけは欺かれる心配のない爲である。」の相似形であるが、私は遙かに劣る気がする。もしかすると寧ろ、芥川龍之介はこのアフォリズムから導かれるもう一つの意味――自然の人智を超えた暴威――をこそ、示したかったのではあるまいか?
《仮想版開始》
我我の自然を愛する所以は、――少くともその所以の一つは自然は我我人間のやうに妬んだり欺ゐたりした果てに、それを動機として相手を傷つけたり、死に至らしめたりはしないからである。即ち自然は頗る不条理に自分を含めた人を殺して呉れるからである。
《仮想版終了》
・「所以」「ゆゑん(ゆえん)」。]
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