靜物 立原道造
靜物
夜更けて 燈火の下で
私のペン 私のインク壺
そして黑い布に蔽(おほ)はれた机
私は お祈りをするやうに これを書く
ことさらに白い紙の上に――
眠るがいい ちひさいいのちよ
睲(さ)めたとき 明日がもつととほく
きらきらと おまへの上に
溢れこぼれるだらう
[やぶちゃん注:底本の「後期草稿詩篇」より。「睲」の字はママ。「見る・瞳が輝く」の意はあるが、立原道造自身の「醒」の誤字ではなかろうか。]
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靜物
夜更けて 燈火の下で
私のペン 私のインク壺
そして黑い布に蔽(おほ)はれた机
私は お祈りをするやうに これを書く
ことさらに白い紙の上に――
眠るがいい ちひさいいのちよ
睲(さ)めたとき 明日がもつととほく
きらきらと おまへの上に
溢れこぼれるだらう
[やぶちゃん注:底本の「後期草稿詩篇」より。「睲」の字はママ。「見る・瞳が輝く」の意はあるが、立原道造自身の「醒」の誤字ではなかろうか。]