芥川龍之介「侏儒の言葉」(やぶちゃん合成完全版 附やぶちゃん注釈) わたし
わたし
わたしは二三の友だちにはたとひ眞實を言はないにもせよ、譃をついたことは一度もなかつた。彼等も亦譃をつかなかつたから。
[やぶちゃん注:
「眞實を言はな」かった「譃をついたことは一度もなかつた」とは芥川龍之介という男の病的な気遣いを感じさせる謂いである。私は「眞實を言は」ずに「譃を」もつかなかったなどという詭弁は口が裂けても言えない。これはまさに人を食った謂いであると思う。また寧ろ、「彼等も亦譃をつかなかつた」というのは逆に龍之介の信頼者へのお目出度い一面を示すとも読める。
・「二三の友だち」画家小穴隆一の他、盟友久米正雄・菊池寛といったところか。]
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