離愁 立原道造
離愁
慌しい別れの日には
汽笛は 鳥たちのする寂しい挨拶のやうに呼びかはし
あなたたちをのせた汽車は 峠をくだつた
秋の 染みついた歩廊のかげに
私はいつまでも立ちつくし
いつまでも帽子をふつてゐた――
失はれたものへ
幼きものへ
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離愁
慌しい別れの日には
汽笛は 鳥たちのする寂しい挨拶のやうに呼びかはし
あなたたちをのせた汽車は 峠をくだつた
秋の 染みついた歩廊のかげに
私はいつまでも立ちつくし
いつまでも帽子をふつてゐた――
失はれたものへ
幼きものへ