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2016/07/02

《オルフエへのソネツト・Ⅱ》 Die Sonette an Orpheus Ⅱ (Rainer Maria Rilke)立原道造譯

[やぶちゃん注:立原道造訳になるオーストリアのドイツ語詩人ライナー・マリア・リルケRainer Maria Rilke 一八七五年~一九二六年)の詩集Die Sonette an Orpheus(「オルフェウスへのソネット」一九二三年)の中の第一編第二番。

 昭和一一(一九三六)年五月号『未成年』第六号に訳載された。

 底本(書誌も含む)は二〇〇八年岩波文庫刊「立原道造・堀辰雄翻訳集」を用いたが、私のポリシーに則り、漢字を恣意的に正字化し、題の後に原作者・原題・訳者名をオリジナルに附した。

 第一連の「面紗」はルビなしである以上、「めんしや(めんしゃ)」と読んでおくが、ベール(veil)のことである。]

 

 

 《オルフエへのソネツト・

 Die Sonette an Orpheus  Rainer Maria Rilke立原道造譯

 

そしてやうやくそれは少女であつた

これらの幾つかの 歌と琴とのしあはせからあらはれ

そして 明るくきらめいた 春の面紗を透し

そうして ベッドをつくつた 私の耳に。

 

そして眠つた 私の内に。そしてすべては眠りであつた。

樹木よ、それを私は或る時感嘆した、これらの

感じられる遠い景色、感じられた牧場、

そしてあれらの驚き、それが私にやつて來た。

それは世界を眠つた、うたの神よ、どうして

それをつくられたか、少女が覺めてゐるのを望まなかつた

世界を? みそなはせ、少女は蘇生しながら眠つてゐる。

どこにあるのだらうか、死は? おお、この主題(モチーフ)を

なほ創られるだらうか、あなたの歌の終らぬうちに?

どこに沈むのだらうか、それは私から? ……その、ほんの少女……

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