《オルフエへのソネツト・Ⅱ》 Die Sonette an Orpheus Ⅱ (Rainer Maria Rilke)立原道造譯
[やぶちゃん注:立原道造訳になるオーストリアのドイツ語詩人ライナー・マリア・リルケ(Rainer Maria Rilke 一八七五年~一九二六年)の詩集“Die Sonette an Orpheus”(「オルフェウスへのソネット」一九二三年)の中の第一編第二番。
昭和一一(一九三六)年五月号『未成年』第六号に訳載された。
底本(書誌も含む)は二〇〇八年岩波文庫刊「立原道造・堀辰雄翻訳集」を用いたが、私のポリシーに則り、漢字を恣意的に正字化し、題の後に原作者・原題・訳者名をオリジナルに附した。
第一連の「面紗」はルビなしである以上、「めんしや(めんしゃ)」と読んでおくが、ベール(veil)のことである。]
《オルフエへのソネツト・Ⅱ》
Die
Sonette an Orpheus Ⅱ (Rainer Maria Rilke)立原道造譯
そしてやうやくそれは少女であつた
これらの幾つかの 歌と琴とのしあはせからあらはれ
そして 明るくきらめいた 春の面紗を透し
そうして ベッドをつくつた 私の耳に。
そして眠つた 私の内に。そしてすべては眠りであつた。
樹木よ、それを私は或る時感嘆した、これらの
感じられる遠い景色、感じられた牧場、
そしてあれらの驚き、それが私にやつて來た。
それは世界を眠つた、うたの神よ、どうして
それをつくられたか、少女が覺めてゐるのを望まなかつた
世界を? みそなはせ、少女は蘇生しながら眠つてゐる。
どこにあるのだらうか、死は? おお、この主題(モチーフ)を
なほ創られるだらうか、あなたの歌の終らぬうちに?
どこに沈むのだらうか、それは私から? ……その、ほんの少女……
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