雨が降る / 「雨になる朝」後記 ~「雨になる朝」恣意的正字化版(一部初出稿・第二次稿復元)~了
雨が降る
夜の雨は音をたてゝ降つてゐる
外は暗いだらう
窓を開けても雨は止むまい
部屋の中は内から窓を閉ざしてゐる
後記
こゝに集めた詩篇は四五篇をのぞく他は一昨年の作品なので、今になつてみるとなんとなく古くさい。去年は二三篇しか詩作をしなかつた。大正十四年の末に詩集「色ガラスの街」を出してから四年經つてゐる。
この集は去年の春に出版される筈であつた。これらの詩篇は今はもう私の掌から失くなつてしまつてゐる。どつちかといふと、厭はしい思ひでこの詩集を出版する。私には他によい思案がない。で、この集をこと新らしく批評などをせずに、これはこのまゝそつと眠らして置いてほしい。
[やぶちゃん注:「眠らして」はママ。同様の感懐を尾形龜之助は昭和四(一九二九)年六月発行の『詩と詩論』第四冊に発表した「さびしい人生興奮」にも記している(リンク先は私のブログでの電子テクスト。但し、本底本と同じ底本で漢字は新字。同篇は「尾形亀之助拾遺 附やぶちゃん注」にも採録しておいた)。]
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