初夏一週間 (戀愛後記) 尾形龜之助
初夏一週間 (戀愛後記)
つよい風が吹いて一面に空が曇つてゐる
私はこんな日の海の色を知つてゐる
齒の痛みがこめかみの上まで這ふやうに疼いてゐる
私に死を誘ふのは活動寫眞の波を切つて進んでゐる汽船である
夕暮のやうな色である
×
昨日は窓の下に紫陽花を植ゑ 一日晴れてゐた
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初夏一週間 (戀愛後記)
つよい風が吹いて一面に空が曇つてゐる
私はこんな日の海の色を知つてゐる
齒の痛みがこめかみの上まで這ふやうに疼いてゐる
私に死を誘ふのは活動寫眞の波を切つて進んでゐる汽船である
夕暮のやうな色である
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昨日は窓の下に紫陽花を植ゑ 一日晴れてゐた